ギブアンドテイクから生まれる信頼関係

職場の心理

信頼関係の構築に貸し借りは有効

経験上、職場における同僚との関係は、ギブアンドテイクのバランスが保たれいている時がもっとも安定します。

「貸し」をつくったり、「借り」をつくったり、返したり、返されたり、この互いに頼り頼られの関係が良好な関係を保ちつつ、成長を続けられる秘訣だという話。

 

例えば、今日の仕事が一段落、さて帰ろうかというところで、ふと同僚に目をやると何やら忙しそうにしています。

『まだ終わらないのか?』

「やばいんだ、明日プレゼンなんだけど、資料が集まらなくて・・・どうしよう、正直間に合う気がしない・・・」

『あぁ、そういえば明日だったなぁ・・・よしっ!時間もあるし、少し手伝ってやるか』

・・・・・・・・・・・・小一時間

「出来た!」

『お疲れー』

「いやぁ、助かったよ、ありがとう」

『いいっていいって、明日頑張れよー』

 

同僚とは互いに切磋琢磨していたい。あなたは意気揚々と帰路に着きます。

 

一方、社内にて明日の準備と片付けをしている同僚はというと・・・・・・・「借りが出来たな」・・・。

 

相手に頼りっぱなしになる、つまり、ギブアンドテイクのバランスが崩れるとどうなるか?

頼っている側は「借り」を作ったような気持ちになり、無意識にその借りを返したくなる。人はバランスが取れた状態を好みますから、借りを作ったと感じるままではどうにも気持ちが落ち着かない。これを心理学では心理的負債感といいます。

心理的負債感を感じている人は、何よりその負債感の解消を望みますから、このような時に借りを作っている人に頼みごとをすると引き受けてもらえる可能性が高くなります。

心理的負債感の兆候、また、意図的に感じさせる方法

まず心理的負債感の兆候については態度に出ます。

借りを作っている相手への感謝、敬意、「この間は助かったよ、ありがとう」のような会話が多くなります。

心理的負債感は、人の捉え方によって多少違いますが、借りを作った要因と同等の借りを返さないと解消されないと思うものです。したがって、言葉だけでは解消されず、意識的無意識的に、余裕を見て借りを作っている相手に「何かない?」的な態度で接してくるのです。

 

とはいえ、いつも露骨に現れるものでもなく、人の性格によっては中々態度や行動に現れない場合もあります。しかし必ず無意識下では借りを作ったという思いが残ります。

そこで、資料整理を同僚に手伝ってもらいたい場合、「この前データの整理手伝ったよね。その代わりにちょっと資料整理手伝ってほしいんだけど」と交渉してみましょう。

相手に心理的負債感を意識させる交渉をするのです。きっと、同僚は断りづらいでしょう。

一切頼みごとをしない関係よりも、適度に頼みごとをする関係のほうが、信頼関係は強くなる。

このようなやり方は、相手の負い目につけこんだひどいやり方だと思われる方もいるでしょう。ですが、例え隣同士のデスクであっても交流が無いというのも今では珍しくありません。

信頼関係の構築は、職場において非常に重要な要素です。どちらかが動かなければ始まりません。そうした中でお互いに当たり障りの無いコミュニケーションだけでは、さしたる進展も発展も起きません。

一切頼みごとをしない、されない関係よりも、互いに適度に頼みごとをしたりされたりする関係のほうが、信頼が強くなる。相互補完の関係。

貸し借りも一つのコミュニケーションなのです。

心理的負債感を感じる貸し借りが発生しにくいパターン

最後に、なんでもかんでも貸し借りが成立するわけではありません。貸し借りの関係は、ある程度条件が揃って初めて成り立つものです。

例えば、終業時間よりも少し早くあなたの仕事が片付きました、ふと隣をみると、同僚はまだ片付けをしている最中です。あなたは『自分はもう片付いたし、手伝ってあげようか』と手を差し伸べます。

この時、同僚の心理的負債感はどうなるでしょうか?

実はこの時、同僚の心理的負債感はあまり大きくなりません。同僚からすれば「手伝ってもらってラッキー」と思うかもしれませんが、手伝いが必要だったとは限らないからです。

前述した同僚とのやり取りとは切迫感が違います。

 

また、新人と先輩の間柄でも、新人側の心理的負債感は大きくなりません。先輩なんだからフォローしてくれるのが自然、当然と考えるからです。

上司と部下も同様の理由ですね。

能力や年齢差が離れている場合、こちらが貸しを作ったつもりでも、相手そう感じていない場合が多いです。

 

言えば当然と言えば当然なんですが、このことは知っておきましょう。